存在
竜神チャリスとその眷属たち
竜の方舟と大地の守護神 – Dragon’s Ark and Chalice the Dragon god
大地の守護神とは、竜の方舟にて眠る竜神チャリスのことを指す。
エルフを始めとするエールケディスの大地に住まう生命たちは、チャリス神のことを大地の守護神として崇めている。が、チャリス神のその姿を見たことがある者はいない。その為、チャリス神が実在するかどうかを疑う声もあり、現在ではそちらのほうが主流派で、チャリス神を心から信じている者は少ない。
そしてチャリス神がねぐらとする「竜の方舟」は、空を漂う孤独な大陸のことを言う。また大陸の正式な名称は「アルフテニアランド」だとされているが……――?
守護竜と守護鳥 – Guardians of Yelekedis
水神カリスの眷属たち。宵闇の竜カミラ、萌芽の竜リルフ、劫火の竜ベムド、紅翼の巨鳥スパーナの四柱で構成される。
カミラはラドゥイアゴスと盟約を交わし、西のエルフの守護竜を。リルフはヤムリシェンドと契約を交わし、ヤムリシェンドが何にも煩わされぬ安住の寝床を提供する代わりに、北のエルフの守護竜を。スパーナはイグリザンドと誓約を交わし、イグリザンドの代わりに聖剣の管理をしている。ベムドの今の所在は不明。しかし噂によるとベムドは、チャリスの遣いに仕えているという。
チャリスの遣い – The Envoy of Ark
選ばれし旅人には方舟へ向かう道を指し示してくれる、とされている。
古代人のような見た目をしているが、どうやら古代人とは似て非なる存在であるらしい。
アポロとダイアナ、それと名称不明の一人の計3名が確認されている。
実体を持つもの
大樹オルフェウス – Big tree Orpheus
イグレスラッド島の中部にある集落、オールフキナンフ村の高台に聳える大木。始のエルフと同時期に誕生した樹で、樹齢は3億年を超える。オルフェウスの子らは、この樹になる実から産まれ落ちてくる。
この樹の種は聖杯から生まれ、そして聖杯は種を生み出した直後に活動を停止した。つまりルーツは始のエルフと同じなのだ。
オルフェウスの子らはこの樹を「母なる大樹」と呼び、敬っている。しかし西のエルフたちは「大樹の姿をした不気味な怪物」と呼んで、嫌っている。
西のエルフであるラドゥイアゴスとルゼルアンドは顔にこそ出さないが、この樹を心底疎んでいる模様。ラドゥイアゴスは一度この樹を焼き払おうとしたが、気味の悪いことにこの樹には火が移らず、燃えなかったのだという。以来ラドゥイアゴスは焼却を諦め、監視を続けている。そして万が一の事態を考慮し、この樹が根を張るイグレスラッド島から西のエルフを逃がし、大陸に送った。
実体を持たないもの
魔物 – Apparition
現世を彷徨う死霊がマナの力と呼応した結果、仮の肉体を持って顕現した存在。その中でも、攻撃的で生命らに危害を加え得るものが「魔物」と呼ばれる。多くの場合、急所を打ち抜くと仮の肉体は崩壊し、霧散して大気中のマナに還っていく。
姿かたちや能力等は、個体により様々。一概にどうとは言い切れないほど、バリエーションが豊か。そして魔物の性格に応じて「火」「水」「風」「地」「明(光)」「冥(闇)」に分類される。
マナに近しい存在であるため、精霊を介さず詠唱抜きに魔法を扱うことができる。
精霊 – Spirit
実は、魔物と大差ない存在であるということはあまり知られていない。生命に危害を加えない死霊で且つ目に見えない存在のことを、精霊と呼ぶ。
性格は精霊によりけり。一概にどうとは言い切れないほど、バリエーションが豊か。そして精霊の性格に応じて「火」「水」「風」「地」「明(光)」「冥(闇)」に分類される。
詠唱により精霊に指示とマナを送り、精霊はマナをエネルギーの波に変換して、生命に力を貸し与える。これを「魔法」と呼ぶ。
所属不明の勢力
水神カリス – Khalice the Water god
竜神チャリス……――とは少し異なる模様。
ラドゥイアゴスは、どうやら水神カリスのことを知っていて、さらに見たことがあるらしい。
ある女は、水神カリスについてこう証言した。「おっちょこちょいで、猪突猛進なオチャメな大地母神様」
ある男は、水神カリスについてこう証言した。「とある神器に執着している。絶対に、あれにだけは手を出してはならない」
信天翁の死神 – Death the Albatross
「血も涙も心もない、冷酷な死神」であると言い伝えられている。
「大地の掃除屋」とも呼ばれ、現世に留まり続ける死霊たちを刈り取り、それらを永遠に葬り去ることを役目としている。その為、大抵の精霊や魔物は、この名前を出すと恐れをなして逃げていくという。伝承によると、信天翁のような姿かたちをした影を引き連れているという。
始のエルフは、彼のことをよく知っているらしい。
クソカラス – F**kin’ raven
神出鬼没のワタリガラス。各地に出没する。
ルー – Luu
「うにゃぁ……」
滅んだとされるもの
古代人 – Ancients
かつて大地を支配していたとされる種族。20億年以上も昔に滅び去っている。
偉大で高度な文明を築き上げたが、その文明により憐れにも自滅していったとされている。
概念
根源
マナ – Manna
エルフ、ホビット、ドワーフの生命の根幹を成すエネルギー。気体であるとされているが、液体であるとする説や、個体であるとする説も、果てはプラズマのようなものであるとする説もある。つまるところ正体不明で、何一つとして分かっていない。睡眠により補充することができる。
マナが尽きると、エルフ/ホビット/ドワーフの三種族は動けなくなり、たちまち眠りに落ちてしまう。
しかしケット・シーや古代人の末裔、その他動植物は基本的にマナがなくとも活動ができる。それどころかエルフ/ホビット/ドワーフの三種族以外の生命は、高濃度のマナに触れると不定愁訴を訴える等の体調不良を引き起こしたり、最悪の場合は死に至ることもあるので、注意が必要だ。
マナの吸上 – Raising manna
切羽詰まったときの最終手段。地脈から強引にマナを引き上げ、自分のものとする技のこと。
これを意図的に行えるのは手練れの魔法使い、そして天賦の才を持つ者だけ。大半の者は、絶体絶命のピンチに陥ったときのみ発動させることができる。
要するに、火事場の馬鹿力のこと。そのような意味合いで使われる言葉でもある。
能力
魔法 – Magic
術者が精霊に指示と共に自身の体に宿るマナの一部を送り、精霊が受け取ったマナを指示されたとおりのかたちに変換して送り出す。その一連のプロセスを経て発動する事象が、いわゆる「魔法」である。
精霊が多く密集し、且つマナが多く集まる地域ではより強力な魔法が射出できるが、両方ないしどちらかが欠けると、中途半端な威力になるとか。
また安定した魔法を編むには「精霊とマナの流れを感知できる能力」が必須だが、この能力がなくとも魔法は発動できる。とはいえ精霊の数や状態、地脈を流れるマナの量や質を感知できる術者のほうが幾分かアドバンテージがある。
魔道士 – Mage
魔法を研究し、それを扱うものたちの総称。エールケディスに住まう大半の生命は得手不得手の差こそあれ魔法を扱うことができるが、単に魔法を扱えるだけでは「魔道士」とは呼ばれない。特に優れた魔法の遣い手であり、その能力を社会に貢献するかたちで活かしている者のことを主に「魔道士」と呼ぶ。狭義では「エルサムガスク公国が開催する魔道士試験に合格し、魔道士の資格を得た者」を指す。
魔道士はエルサムガスク公国に多く集い、そこで共同研究や切磋琢磨に励んでいる。
マナの感知能力 – Manna Sensibility
一部の者たちが保有する、地脈に眠るマナの質や量がわかる能力のこと。西のエルフはこの能力を持っていない者のほうが珍しく、また感度が高い者が多い。次にこの能力の保有者が多いのがホビット族だが、しかし保有者は稀。今代では、ラニャーマ=ゼラギアとその弟子であるラシル・メリルの姉弟しか確認されていない。
闇の耳 – Nightmare listener
ラドゥイアゴスがイグリザンドから貰い受けた能力。魔物および精霊の声を聴く力だそうで、ごく普通の音を聴くように実態なきものたちの声が聴こえてくるのだという。
これによりラドゥイアゴスはより強力な魔法を安定的に扱えるようになり、そして魔物の居場所を容易に突きとめられるようになった一方で、夜中でも構わず耳元で騒ぐ精霊たちの声に悩まされて不眠症を患うはめになった。
そして偶然、リドゥイアスも遺伝でその力を受け継いだようだが……どうやらリドゥイアス自身には自覚というものがないらしい。
神託 – Oracle
イグリザンドが持つ能力。「神の声を聞ける」とされているが、その神がどの神を指しているのかは不明。イグリザンド自身にも分からないとのこと。
もともと「闇の耳」を持っていたイグリザンドは、この能力によって聞こえてくる声たちに悩まされ、憔悴していた時期があったのだが。ラドゥイアゴスに「闇の耳」を移譲した結果、別の声が聞こえるようになった。それが現在「神託を聞く力」とされているものだ。
イグリザンドの降ろす神託は今のところハズレ知らずで、その予言は全て現実のものとなっている。
地名
エールケディス – Yelekedis
大地、世界を意味する言葉。穏やかな自然が息づく場所、転じて理想郷という意味を持つ。
この物語の舞台となる場所のことである。
竜の方舟 – Dragon’s ark
はるか高みの空に浮かんでいる大陸。空を悠々と移動しており、留まることを知らない。
大地の守護神チャリスがねぐらとしているという伝説があることから、竜の方舟と呼ばれるようになった。
噂によると、この大陸は古代人が築いた要塞都市だったとのこと。アルフテニアランドという名前だったらしい、という伝承が受け継がれているが、その真偽は不明。
ユーゴルドキア大陸 – Eugoldochia Continent
東西にまたがる、もっとも大きな大陸のこと。北西部に西のエルフ、南西部から中東部にホビット族、北東部に北のエルフ、東部にケット・シーが生活圏を築いている。
とても広い大陸であり、陸路での移動は時間が掛かるが。近年、大陸を7日で横断する鉄道が設置され、エルサムガスク公国からラッシェムア領までは鉄道一本でアクセスできるようになった。
アレンティア大陸 – Alentja Continent
ユーゴルドキア大陸の南西に位置する大陸のこと。北部一帯を南のエルフが統治しており、南部はなんとなく「ドワーフ族の領地」ということになっている。そのドワーフ族も実質、南のエルフの統治下にあるようなものであるため、まあ大陸全土が南のエルフのものといっても過言ではないだろう。
とはいえ多様な種族が集まる場所であり、エールケディスで最も栄えている土地でもある。全ての物資が集結する場所、それがアレンティア大陸だ。
ワノクニ – Wanokuni
ユーゴルドキア大陸の東側、その海を越えた先にある列島のこと。ここに現在は東のエルフと古代人の末裔が暮らしている。
大陸と離れた文化圏を持つため、衣装や食文化がかなりユニーク。また高温多湿な環境であり、自然災害も多く、地震も頻発していることから、他種族の者はあまり住みたがらない環境となっている。